「香奈子、あれはナイわ。」
「うん、ナイね。」
「お姉ちゃん、ナイです。」
あたしの言葉に合わせて顔を上げたまどか母だったが、そんなお母さんを冷たく一瞥したまどかに腕を引かれて二階にあるまどかの部屋まで連れてこられた。
そして部屋でみんなに責められているあたし悲しい。
直くんにまで言われてしまった。
大事なことなのでもう一度言おう。直くんにまでだ。
「みんなしてそんな言わなくたっていいじゃないの。あたしの見事な一言で顔を上げられたまどかのお母さんはきっとあたしに感謝してるはず!」
「にしてもナイわ。」
「ナイね。」
「ナイです。」
「ひどい・・・」
お姉ちゃん悲しみに暮れるあまり泣いちゃうよ?悲しみブルーだよ?
「みんなかーちゃんいじめてないで勉強しよーよー。勉強しに来たんっしょ?」
そこでようやく声を発したまどかはなんだかお疲れの様子。
「まどかさ、あの状況でお母さんの事スルーとかひどくない?ケンカでもしてんの?」
「そうですよ。山さんが何とかすればお姉ちゃんがあんな悲しいこと言わなくて済んだんですよ。」
「直くん、あたし悲しいこと言ったつもりはないんだけど。あたしの中のベストアンサーだったんだけど。もうノート見せてあげない。」
「お姉ちゃんごめんなさい。ノートだけは、どうか。」
「はい、この話いつまでしてても無意味なので勉強しましょうねー。特にそこの赤点予備軍二人組。勉強みてやんねーぞー」
まどかの言葉ですごすごと勉強の準備を始めるあたしたち。
さぁちゃんとメグはまどかの母親に対する態度でなにか薄々感じ取ったようだ。
あぁ、これは触れちゃいけないんだな。って。

