「えぇ?!」
思わず驚いてしまった。だって玄関先で三つ指ついて待ってるとか想像できないでしょ。
そりゃあお姉ちゃんびっくりしちゃいますよ。
「あ、え、その、」
頭を下げた状態であたしの声に狼狽えるまどか母。
完全に顔を上げるタイミングを逃してしまっている。
え、これどうすればいいの?
想像してなかったから対処法とかわかんないんだけど。と思い、まどかの方を見ると、なんとも形容しがたい冷たい目で三つ指をつく母を見下ろしているまどかがいた。
「え、これはいったいどういう状態なの?」
あたしの後ろから連なって入ってきた一行も唖然としている。
「え、山さん、この人は…」
「は、母です!!」
直くんの問いかけに力いっぱい答えるまどか母。ただしその顔はまだ床を見ている。
「母ですか…」
さすがの直くんもこの意味不明な空間に圧倒されているようだ。
大事なことなのでもう一度言おう。あの直くんが、だ。
みんな一様にどうするこれどうするとアイコンタクト。
そしてなぜか最終的にあたしに向いたみんなの視線。
え、あたしがどうにかする感じですかこれ?母に対してのなんやかんやは娘に任せたいんだけど。
…と言ってもまどかもあんな状態だしな。
「あ、えっと…お、面を上げい!」
「は、はいぃ!!」

