「何、それ」



あまりに情けなく呟かれた言葉に、思わずため息。

そのため息に誠は小さく肩を揺らした。




「俺、面倒くさい?べったりされたら迷惑?」



俯いて意味もなく砂浜に穴を掘る。

そういえば、犬は砂に穴を掘ってそこに大切なものを入れると聞いたことがある。

なんだあたしを埋めようっていうのかこいつは。



「迷惑なんて一言も言ってないよ?」


「でも、…やっぱり、俺ばっかり好きなんだ」


「…この間も言ったけどさ、あたしは、誠が一番だと思ってるよ?」


「それもさ、たぶん、弟みたいな感じなんだと思う。後回しでも大丈夫だと思ってるでしょ?」



確かに、誠とは姉弟みたいにそだったから弟みたいだなと思うこともある。

でも、それとこれとでは話が違うじゃないか。

あたしは誠と付き合っていて、その感情は決して家族愛とか姉弟愛とか、そんな類のものじゃない。



「何がそんなに不安なの?」



あたしはこんなに誠のことが好きだって言うのに。

当たり前のようにそばにいてくれる誠に安心してるし、満たされている。

誠に大事にされてる自覚もある。



「…吉岡先輩が、気になる」


「メグ?なんで?」


「…だって、あの人絶対にかなちゃんのこと好きだし、かなちゃんもすごい心許してるし…」


「何あんた、メグにあたしが取られちゃうーとでも思ってんの?」


「…思ってる」


「…それはさ、あんた、メグに勝てないとか思ってっからそんなことになるんでしょ。なに?あんたはメグが出てきたらあっさり負けを認めてあたしを手放すの?」


「そんなわけない!!あんなひょっこり出てきた奴に負けない」