お姉ちゃんの憂鬱


なんだかんだ言って、メグが一番心配性で一番気配り上手だ。弟とかいそう。



「…かなちゃん、今絶対吉岡先輩のこと考えてたでしょ」


「よくわかったね」


「……そこはたとえそうだったとしても、『そんなことないよ』くらい言ってほしかったなあ」



途端にグチグチいじけだす誠はなんなんだろうか。

本当にメグのこと考えてたんだもん、仕方ないじゃないか。

というか、聞いてきたのは誠じゃないか。



「なにいじけてんのさ。トンネル開通させるんだから手伝いなさい」


砂をかき集めて少しずつ山にしながら言う。


誠がいじけるってことは、イコール構ってください甘やかしてくださいの合図みたいだからな。



「…かなちゃんって、本当に男心がわかってないのね」


「男じゃないもん。わかってたまるか」


「そーなんだけどさーあー」



山の周りの砂を削っては山の上から落とす。

削っては落とし、削っては落としを繰り返していると、山は徐々に高くなり山の周りのお堀は徐々に深くなっていく。



このままずっとこれだけを繰り返していったら山はどれだけ高くなるだろうか、お堀はどれだけ深くなるだろうか。

山の頂上と堀の底はどれだけの差になるだろうか。



「…なんか、俺ばっかり好きみたい」



そんな、一生考えても解けないだろうくだらない疑問を頭に浮かべていると、横の誠がぽつりとつぶやいた。