「岩崎ー、3年生の先輩か呼んでるで」


声の主がクイッと指差した教室の入り口に目をやると、ひとりの男子生徒が立っていた。




長身のイケメン。


うわ、あいつは……。




廊下に出ると、そいつはジロリと上から見下ろしてきた。



「なんですか?」


こちらもジロリと、見あげる。




「少しいいかな? キミと話したかった」


柔らかな口調でそう言うと、彼は返事も聞かずに廊下の窓辺に立った。


仕方なく悟もついていって、彼と向き合う。




「キミが沢渡さんの彼氏?」


落ち着いた声がそう訊いた。


「はい」


「僕は堂前征矢。ずっと沢渡さんのことを大切に……守りたいと思ってきた」





「好き……ってことですか?」




「キミ以上にね」




バチバチッと火花が散る。