さわさわさわ……。 風が一陣吹き抜け、まだ若い木々の緑がいっせいに音を立てて揺れた。 さわさわさわ……。 ちらちらと、木漏れ日が踊る。 眩しくて目をつむった。 もう…… あの子を救うことも、守ることも 僕には、できないのか――。 夏が来れば2年になる長い長い片想いに、堂前はなかなか終止符を打てずにいた。