「行こ、ユキ」


「あ、うん」


ズンズンと大またで歩きだすマリア。


その横をトコトコ小走りになりながら、ユキが話しかける。




「マリア? どーした?」


「あー、もう。あんなやつ相手にする気なかったのに。ムカつくわ~」


「いや、マリアは悪くないよ。なんか挑戦的やったし、堂前くん」


「やんなぁ? 悪意感じたよな」


「うん……」




「ただの八つ当たりならいいけど。あいつ、ヤバいやつちゃうん?」


「えっ?」


「頭いいんやろ? 逆恨みして、藍や悟に何か変なことせえへんか心配やわ」


大丈夫やろ、と言えるほど、ユキも彼のことは知らない。




「ウチらで守ったらなアカンな」


「うん」


マリアの言葉にユキも大きくうなずいた。




「明日、悟にも報告しとくか」


そんな相談をしながら、ふたりは校門を出た。