「堂前……?」 驚いたように見あげるマリアの瞳は、美しい。 「どーしたん?」 吸い込まれそうになる。 「別に……」 この手をとれば、 自分も変われる気がした…… なんていうのは、たぶんあとづけの理由だ。 「帰るで」 照れくさくなって堂前は前を向き、そう告げると階段を下り始める。 「うん……!」 つないだ手が揺れて、優しい気持ちが広がっていくのが不思議だった。