「佐倉さん、ここわかる?」

「…っと、わかりません。」



私、佐倉花恋はバカである。
中1も終わりにさしかかった12月下旬、流石にのんきな私でも焦りを感じていた。


「花恋、いい加減勉強せんと高校いけんよ。」

母さんにもこっぴどく怒られ、私の手には家の電話が握られていた。

「えっと、ぜろはちいちと…」

「はい、もしもし」

「あっ、佐倉花恋といいます。柏中学校1年で、塾に加入したいんですけど…」

「あ〜、そうですか!!お母さん、お父さんはいらっしゃいますか?」

「あぁ、ちょっと待ってください」