「マ…マネージャー…?」


何言ってんの、この人。

マネージャー…?

あたし、運動なんて全然できないのに…。

ていうか、専属…?


「えっと…、マネージャーって言っても、タイム計ったりするくらいなんで…。ダメですか?」


ジッ、と顔を見つめられる。

…音楽室で見る『彼』なら、OKするのになぁ。
   

「……50メートル、走って下さい」

「…え?」

「50メートル走って。あなたの走りが気に入ったら、マネージャーします」


ただの意地悪。

あたしは『彼』の走りが好き。


風のように走る。

皆の期待を背負って走る。


そんな『彼』の走りが好き。



だから、聖くんには悪いけど、答えは最初から決まってる。


聖くんは笑って、

「わかった!走るのは好きだから」

そう言って、50メートル走のスタート地点に立った。