「それで、結局どうなの?」


ふてくされたような顔で、あたしの頬をつつきながら聖くんは言った。


「行く?行かない?」

「…えっと、その〜…」

「どっち?」



あたしはかなり迷っていた。

行きたい…。

デートとか恥ずかしい!

でも、行きたい…。

会話とか盛り上がらないだろうし…。

でも、やっぱり、でも………。


「……行く」


結局、あたしは行くことにした。


「本当⁈」

「でも、デートじゃないから!」

「え?」

聖くんが不満の声をもらす。

「マネージャーとして、親睦を深めるために行くんです!」

「……わかった」


聖くんは、やっぱり不満そうだった。





……というわけで、今日は聖くんと親睦を深める日。

だけど…


「ねぇ、音羽お願い!着替えていい?」

「ダメ」

「お願い!こんな服恥ずかしい!」

「今の流行りの服だよ⁈何が恥ずかしいの!」

「このワンピース。あと、似合ってないし…」

「似合ってるから、黙って」


音羽に、ドスの聞いた声で睨まれた。

一応、姉なんですけど……?



「あ、ほら!時間だよ!」


音羽が嬉しそうに言う。

時計を見ると、確かにもう出掛ける時間。


「…いってくる」

「思い余って抱きついちゃうくらいに、親睦深めてきてね〜」

「しっかり留守番しててね」


音羽の言葉を見事にスルーして、あたしは家を出た。








心がふわふわしてて、心地いい。


あたしは、小走りで待ち合わせ場所に走った。