聖くんの匂いがする。

優しい匂い。


聖くん──。


「あたし、人が怖いんだよ?」

「うん」

「友達もいないんだよ?」

「うん」

「なのに、あたしでいいの?」

「うん」

「あたしが、聖くんのマネージャーになっていいの?」

「うん。鈴がいい」

「聖くん……」

「何?」



「ありがとう」




ありがとう、聖くん…。

あたしは、聖くんを抱きしめ返した。

震える手で、初めて聖くんにふれた。



あたしは、気付いてしまった。

気付かないふりをしていた。

ずっと、隠してた。




あたしは、聖くんが好き──。