あたしの通ってるピアノ教室に、1人凄い子がいた。
あたしより、1歳年上の可愛い子。
あたしの親友だった。
凄くピアノが上手で、CDデビューの話もあったらしい。
その子は、あたしと同じ発表会に出た。
「優勝すれば、CDデビュー間違いなし」
と言われていた。
けど、その子は優勝出来なかった。
それどころか、CDデビューへの緊張で思うように弾けなかったらしい。
結果は4位。
表彰されるのは3位から。
あとは、順位なしに等しい。
結局、CDデビューの話は白紙になった。
それから少しもしないうちに、あたしへのいじめが始まった。
「人の未来を奪った」
「調子にのるな」
「早くピアノ教室を辞めろ」
あたしへの陰口は、とどまる事を知らなかった。
一体、誰がこんな事始めたの!?
あたしは、未来を奪うつもりなんてなかった!
あたしは、悪くない!!
ずっとそう思っていた。
そんな時、ある陰口が聞こえた。
「あんたのせいで、CDデビュー出来なくなった」
………あぁ、きっとあの子が始めたんだ。
あたしへのいじめの中心にいるのは、きっとあの子なんだ。
目の前が、音を立てて崩れた気がした。


