「鈴ちゃん、発表会、出てみない?」
「え…発表会?」
それは、小学1年生の時。
先生に唐突にいわれた言葉だった。
「鈴、凄い!」
「頑張って!」
…発表会?
…あたしが?
大勢の人の前で…あたしが弾くの?
………発表会、出てみたい
「先生、あたし発表会出たいです!」
その後は、ピアノの猛練習の日々だった。
小学1年生にしては、かなり難しい演奏曲をあたしはずっと練習した。
音が上手くでなくて、悔しくて泣いた。
弾けなかった小節を弾けて、嬉しくて泣いた。
頑張ろう、頑張ろう。
先生に、お母さんに、皆に褒めてもらいたい。
賞がほしい。
あたしは、ずっとピアノを弾いていた。


