「え?…いじめ?」

「そうだよ。あたし、ピアノ教室の皆に嫌われてたんだよ。……先生にもね」


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「…お母さん。…どこ行くの?」

「楽しいところよ。きっと鈴も気に入るわ」


まだ小さかったあたしは、母親に連れられて、ある場所へ向かった。


「すみませーん、お電話させていただきました、上原ですー」

「あ、いらっしゃーい。こんにちは。講師の野木原です」


そこがピアノ教室だった。


優しそうな先生。

新しい友達。

初めてふれるピアノ。




あたしは、ピアノ教室がすぐに気に入った。