近くに行くと、その人はすごく背が高いと思った。
多分、170センチは超えてる。
スラッとした身体に、ほんのり日焼けした肌。
いかにも、『スポーツ少年です!!』って感じ。
「……なんですか?」
顔を上げると、その人は驚いたような顔をしていた。
普通の顔なら、充分にイケメンなんだろうなぁ。
「あの…もしかして…上原さん?」
「…はい」
「うわっ!!マジで?!あのピアノの?!あ、超上から目線ですいませんでした!!!」
短髪で茶髪の頭を、思いきり下げられる。
「…はぁ。あの…、なんで呼んだんですか?」
「あ、あの!上原さんのピアノ、よく聴こえてくるんですけど、凄い綺麗な音だと思ってます!」
……話が噛み合ってない!!
どうやら、彼はあたしのピアノのファンらしい。
まだ、あたしのピアノを褒めてる。
…あたしのピアノは、褒められる価値ないのに。


