「…聖くん、あのね…!」 「コラッ!!聖!サボリか!?」 あたしの声にかぶるように、誰かの声がした。 「ゲッ…、ハゲ田…!」 聖くんがボソッと呟く。 ハゲ田こと、数学担当、陸上部顧問の山田先生は正直苦手……。 「ごめん、鈴…。行かなきゃ…」 聖くんが申し訳なさそうに言う。 私が悪いのに…。 そんな顔、しないでよ…。 『言わなきゃ、伝わらないよ?』 頑張らなきゃ、あたしが。 「…ま、待ってる!聖くんが部活終わるまで、待ってる!」 あたしが頑張るの。