あたしの声はグラウンドに響く。 陸上部の人が一斉にこっちを見る。 「誰だ、あれ?」 「あ、マネージャー志望とか?」 「聖に用があるんじゃね?」 恥ずかしさと、緊張で後ずさってしまう。 逃げちゃダメ。逃げちゃダメ。 大きく深呼吸して…。 逃げちゃダメ。逃げちゃダメ。 あたしは呪文のように、頭の中で繰り返す。 逃げちゃダメ。逃げちゃダメ。 その時。 「鈴!」 聖くんの声がした。