あたしは、聖くんの手を振り払った。



「鈴……」



「あたしは、もう周りの期待に応えるのは、限界っ!!!」






聖くんが、困ったように


「ごめん……」


と、呟く。



……なんで、謝るの?


聖くんは悪くないじゃん。


あたしの、ただの八つ当たりじゃん。


なんで───?


急速に頭が冷えていく。

あたし、何してるの?




「…帰る」



今、聖くんと一緒にいたら泣いてしまう。

迷惑をかけてしまう。


あたしは、荷物を持って音楽室を飛び出した。





────聖くんを残したまま。