…もう、言ってしまおうか。
「あの、あたし…っ」
そこまで言ったときだった。
頭の上に何か触れた。
……それは、聖くんの手だった。
「聖く…」
「言いたくないなら、そう言っていいんだよ。鈴が無理する必要ない」
…聖くん。
ちょっとお節介だったかな、なんて聖くんは笑った。
真夏の太陽よりも、真夜中の星よりも、輝く笑顔で笑った。
大きくて、優しそうな聖くんの手が、ゆっくりと離れていく。
あたしは今日、朝から2つ発見した。
1つ 聖くんといると、皆がチラチラ見てくる。
もう1つは、
──あたしは、聖くんが苦手じゃないかも。
………多分たけど。


