もう一度リビングに出る。 「……。」 リビングにあるピアノの前に座って、かるく1曲。 あたしのピアノの音で、お父さんは毎日起きている。 あたしのお母さんは保育士。 お父さんは銀行員。 お父さんが起きてきて、あとは妹の音波(オトナ)。 音波もあたしのピアノで起きるけど、別の曲じゃないと起きない。 音波のためのピアノを弾き終える頃には、あたしが学校に向かう時間。 「行ってきます」 これが、あたしの家の朝。