【完】キミとふたり、秘密の場所で。







「さっさと帰りますよ」




「はぁーい」




もう、何度このやり取りをしたんだろう。




気が付けばほぼ毎日、放課後は一宮くんと一緒にいて……。




イジワルだけど、時々優しい一宮くんと過ごす放課後は、楽しいって思う。




そんなことを考えながら一宮くんと肩を並べて昇降口に向かっていると、




「なにニヤけてるんですか。気持ち悪いですよ」




と、言われた。




「う……っ、そ、そんなストレートに言わなくても……!」




「お世辞は嫌いなんで」




一宮くんには、なに言っても無駄だ。




「ほんっと歩くの遅いですね。抱っこで運んであげましょうか?」



学校を出てすぐに、一宮くんがイラついた口調で言う。




だ、抱っこ!?




「あ、赤ちゃんじゃないんだから、結構です!」



「まぁ、赤ちゃんの方が頭いいでしょうね」




む、ムカつく………けど、なにも言えない。