「ちょ………、一宮くん……!」
「なんですか?キスを望んだのは、白雪さんでしょう?」
「ち、ちが………っ」
そのまま腕を引かれ、私は一宮くんの胸の中にすっぽりハマった。
その瞬間、甘くて柔らかい香りが私を包んだ。
「還元」
耳元でそう囁かれる。
か、カンゲン………?
「酸化物が酸素を失う反応を還元といいます」
「………!」
それを聞いてわかった。
さっき、私がわからなかった問題の答えを教えてくれたんだって。
「キスは今日のノルマ達成したときのご褒美にとっておきますね」
「け、け、結構ですっ!!!」
私は赤くなりながら、一宮くんから慌てて離れた。



