「一宮、くん」
間違いなく、前の席の一宮透也くんだった。
彼が助けてくれたのがあまりにも意外で、私は目を丸くした。
一宮くんが……助けてくれるなんて……。
「白雪さんも白雪さんですよ。
あんな男に引っかかるなんて、バカですか?」
「……っば、バカって……!」
確かにバカかもしれないけど……初めての会話の第一声がそれ!?
でも……助けてくれたのには変わりないよね!
「一宮くん、助けてくれてありがとう……!」
「別に助けたワケじゃないです。読書の邪魔だっただけです」
「……っ」
冷たくそう言った一宮くんだったけど、なんだかかっこよく見えた。
―――ドキッとしちゃったんだ。



