「言い訳はいいので、はやくノート写してください」 一宮くんが私に数学のノートを貸してくれる。 ノートを開くと、綺麗な字がずらりと並んでいた。 よし、写すぞ! と、シャープペンを走らせようとしたとき。 「あ、ちゃんと声に出して読みながら写してくださいね」 「え」 「はやく」 えーっ!!! め、めんどくさい……。 「まさか、めんどくさいなんて考えてないですよね?」 一宮くんが超満面の笑みで私を見る。 「お、思ッテナイデス………」 それから私は、ノートを声に出しながら写させられたのだった。