「鼻水はつけないでくださいね?」
「わ、わかってるもん……っうぅ……」
歩のことはもう今日で綺麗さっぱり忘れよう。
いつまでも考えてちゃダメ。
自分に何回も言い聞かせて、一宮くんから離れた。
「………い、ちみやくん……っあ、りがと」
「もういいんですか?」
「………うん。歩のことはもう、忘れる。今日限りで……」
私が涙を拭いながら言うと、一宮くんは椅子に座った。
「………そうですか。じゃ、勉強しますか」
「うん……っ」
今日の一宮くんはなんでこんなに優しいんだろう。
少し……ほんの少し……かっこいい、なんて思っちゃったじゃん。



