「こんなとこでなにしてるんですか?読書の邪魔なんですけど」
すると、歩の背後からそんな男子の声が聞こえた。
誰……?
「あ?お前なんなんだよ、お前こそ邪魔なんだよ!!!」
歩は私の上から退いて、その相手に拳を振り上げた。
「暴力で解決しようとするなんて、無様ですね」
その男子生徒は平然と歩の拳を掴んだ。
す、すごい……っ
「こんなことしてたのバレたら、退学じゃないですか?今なら黙っててあげますよ?」
「く……っ」
歩は悔しそうな表情で私の前から立ち去った。
た、助かった……。
そして、私は歩が立ち去ってから気が付いた。
「!」
助けてくれた、彼の正体に。



