【完】キミとふたり、秘密の場所で。






「………あ、桃乃、一宮が教室出ていこうとしてるよ?」




未唯ちゃんの指さした方を見ると、本を片手に教室を出ていこうとする一宮くんの姿があった。




……あ!
そういえば私、一宮くんに来いって言われてたんだっけ……。




私はお弁当を平らげて、立ち上がった。




「行ってくるね、私!」




「うん、あんまりしつこくして怒られないようにね~」




未唯ちゃんにとって私が一宮くんのとこに行くのは“私が一宮くんと仲良くなるため”。
でも、私にとってはそうじゃなくて、“一宮くんに呼ばれたから”。



未唯ちゃんは一宮くんの本性を知ったらなんて言うだろうか……。




教室を出て、階段をかけ上がる。




1年は2階、2年は3階、3年は1階に教室がある。
屋上に続く階段があるのは4階。




2階から4階はなかなか疲れる。




「はぁ~………」




4階への階段を上がりきろうとしたとき。




「遅いですよ?なにしてたんですか」




目の前に一宮くんが立っていた。