【完】キミとふたり、秘密の場所で。







まさか、一宮くんから「来い」って言うとは思わなかった。




前を見ると一宮くんは真面目に授業を聞いていた。
……聞いているフリかもだけど。




一宮くんの本性は秘密。
私はそれを知っているって考えたら、なんだかちょっと嬉しかった。




「ちょっと、白雪さん。そんなニヤニヤしてどうしたんですか?変人にしか見えないですよ?そんな気持ち悪い顔してる暇があったら、早くプリント受け取ってくれません?」




「あ……!ご、ごめん……」




またボーっとしてたせいでプリントが回ってきてたことに気付いてなかった。




慌てて一宮くんからプリントを受け取って、後ろの人に回す。




て、てか私……。




「に、にやけてた……?」




「はい、気持ち悪い顔になってました」




う……っ、そ、そんなぁ……。



き、気持ち悪いって……。




「ひ、ひどい……」




「じゃあ、可愛らしい顔になってました」




“じゃあ”って……。




「絶対思ってないじゃん!」