「白雪さん、1つだけお願い聞いてもらっていいですか?」 「ん?なに?」 「僕のこと、名前で呼んでください」 「え……」 もう“一宮くん”で呼びなれちゃってるし、今更恥ずかしい……! 「む、無理!」 「呼べたらちゃんと、ご褒美あげますから。ね?」 一宮くんは私を引きはがして、私の顎をくいっと持ちあげた。 「呼ばないとお仕置きですよ?ほら、どうしますか?」 いつもみたいにイジワルに笑う一宮くん。 「と、うや……」 「聞こえないです」 「と、透也……っ!」 私は大きな声で言った。