ピンポーン―――



部屋の全身鏡の前で身だしなみをチェックしていると、1階から薄らインターホンが聞こえた。




「桃乃ー!彼氏さんが来てるわよ~!」




そんなハイテンションなお母さんの声が聞こえて、慌てて1階へ下りる。



ついにやってきた日曜日。
今日は一宮くんの誕生日だ。




「桃乃ったら彼氏がいるなんて一言も言ってなかったからビックリしたじゃないの~」




お母さんはニコニコしながら私の背中をバシバシ叩く。
毎朝一宮くんは家の外で待ってくれてるから、お母さんと顔合わせるの初めてだよね。




「しかもこんなカッコいい彼氏をつくってたなんて!お母さんビックリしちゃった!」




「か、カッコいいだなんてそんな……。いつも桃乃さんにはお世話になってます」




ふと一宮くんを見ると……。




「あ……!一宮くんメガネ……!」




一宮くんはメガネをしていなかった。




「ま、楽しんできなさいね?遅くなるときはちゃんと連絡入れるのよ~」




「うん!じゃあ行ってきます!」




私は一宮くんとともに、家を出た。