一瞬だけ触れるだけのキスだったけど、私には何十秒にも感じられた。
「これからも口答えする、ナマイキな口は塞ぎますからね?」
「………っ!」
一宮くんになにも言えなくなって、前を向いた。
すると今度は一宮くんが私を後ろから抱きしめた。
「い、一宮く……っ!」
「白雪さんって甘い匂いがしますよね」
私の背中に頭をくっつけて言った一宮くんにドキドキする。
私、幸せだな……なんて、お仕置きのはずなのにそんなことを考える。
「一宮くん、好き」
「あの、そういう不意打ちするんだったらこのまま抱きしめ殺してもいいですか」
「や、やだっ」
一宮くんはさっきよりも抱きしめる力を強めた。
「く、苦しいです………」
でも、すごく幸せだ。



