私は急いでカバンに教科書類をつめて、一宮くんと教室を出る。




「さっきはなにを想像してたんですか?まさかいやらしいことでも……」




「ち、違うよっ!ただ、一宮くんとコソコソせずにこうやって教室で話せて嬉しいなって思っただけだよ」




もう!私はただ純粋に喜んでただけなのに!




「………そうですね。今まで教室ではほとんど話さなかったですもんね」




「うん、一宮くんとまさかこんな風に話すようになるとは、想像もしてなかったなぁ~」




「本当に最初はただ自分が読書したいがために、瀬戸歩を追い払っただけで、次の日から白雪さんが話しかけてくるようになって………助けたって勘違いされるんだったら、昨日ぐらいは違うところで読書すればよかったって思ってましたけどね。静かに誰にも邪魔されずに高校生活を送ろうと思ってましたから」




「私だって最初は興味本位で一宮くんに話しかけて……気が付いたらお仕置きとかされるようになってて……気付いたら好きになってたんだよね」




恋のキッカケっていつ、どんな風に訪れるかなんてわからないものなんだ。
失恋したばっかりの私は、新しい恋なんてする気なかったもん。





そして、いつもの秘密の場所に着いた。





「やっぱここ、落ち着くな~」





「ですね」





カバンをその辺に置いて、階段に座る。