【完】キミとふたり、秘密の場所で。







「………柴崎蒼、白雪さんに手出すために僕に近づくならやめてくださいね」




「そんなワケないじゃん。俺はもう桃乃ちゃんが幸せならそれでいいんだ!俺は純粋に透ちゃんと仲良くなりたいって思ったんだ!!!」




真剣な目で一宮くんを真っ直ぐ見る柴崎くん。




柴崎くんは企んだりするような人じゃない。
いつだって真っ直ぐで素直で……いい人だもん。




「………そうですか」




一宮くんは柴崎くんの真剣さを信じたのか、そう言ってまた読書をはじめた。




「もう!透ちゃん!もっと話そうよ~!」




「話すことなんてないじゃないですか」




「透ちゃん、俺が父ちゃんみたいって言ったから怒ってるの~?ごめんって~!」




「別に怒ってません」




きっと一宮くんが拒まないのは、柴崎くんを認めたってことなんかじゃないかな。



一宮くんってば、素直じゃないんだから。




キーンコーン―――



「じゃ、また次の休み時間な!透ちゃん!」




「もう来なくていいですよ」




「イヤだ!絶対透ちゃんの席に行くから!」




柴崎くんはそう言って、自分の席に戻っていった。