ピシャン―――
空き教室の扉が閉められる。
「あの、歩……?」
歩の様子をうかがうように顔を覗き込む。
が、歩の表情からはなにも読み取れない。
歩……なにを考えているの……?
「もうすぐ授業始まっちゃうよ……?」
「お前、よくこんな状況でそんなこと考えられるよな」
「え……」
こんな状況って……?
「桃乃はさー、俺に新しい彼女ができてなんとも思わないワケ?」
歩の質問にびっくりする。
なんとも思わないっていうか……。
「歩も新しい恋見つけたんだなって……幸せになればいいなって思ってるよ?」
これは正直な気持ちだ。
お互い吹っ切れたってことはいいことだよね?
未練たらたらなのも……なんか、ねぇ。



