―――次の日。
「………っあ!化学室に筆箱忘れてきちゃった!」
「も~……桃乃ってば、ドジだね~」
化学の時間の帰りに未唯ちゃんがため息に混じりに言う。
「う……ごめん」
「桃乃ちゃん、着いて行ってあげようか?」
一緒に帰っていた柴崎くんが優しく微笑んで言ってくれた……けど、自業自得だし、1人で行こう。
「大丈夫!1人で行ってくるよ」
「そっか。じゃあ教室で待ってる」
私は柴崎くんに教科書を預けて、化学室まで早歩きで戻る。
はやく行かないと、次の授業に遅れちゃう……!
「ふ~……あった」
化学室の机には私のお気に入りの筆箱があった。
よかった。
さ、はやく教室に帰ろ。
私はホッとして化学室を出た。



