「………っあ!一宮だ!」
すると、未唯ちゃんが小さい声で興奮気味に言った。
「え……?」
「あそこあそこ!一宮って読書しながら帰ってるんだね~!そこもまたかっこいい!」
未唯ちゃんの言った方向を見ると、一宮くんが読書しながら帰っていた。
「そーいや、一宮の家って駅前方面なのかな~?」
駅前方面って……私の家とは真逆。
でも一宮くんって私の家方面に毎日帰ってた……よね?
「きっと、駅前で買い物でもするんじゃないかな?一宮くんって私と同じ方面に家があるって言ってたし………」
そういえば前に柴崎くんと帰ったときも駅前方面に帰ってたような……それもきっと買い物だよね。
「へぇ~……そうなんだ?一宮って駅前方面に住んでるんじゃないんだね?」
「そうだよ、きっと」
未唯ちゃんの言い方に少し違和感を感じたけど、あまり気にかけなかった。
「はぁ~……明日も学校か~」
一宮くんのことはできるだけ考えたくなくて、そう言って空に向かって背伸びをした。



