「プリント、後ろに回してるんですが。さっさと受けとってくださいよ」
………そんな淡い期待も、すぐに崩れ去ってしまう。
期待なんてしたって無駄なのに……。
無駄ってわかってても信じたいって思う部分が自分の中にあるんだ。
「ご、ごめんね」
一宮くんはイラついた様子で、雑に私の机に前から配られてきたプリントを置くと、前を向いてしまった。
冷たい一宮くんにはまだやっぱり慣れない。
いつもイジワルだったけど優しい部分もあったんだもん。
冷たくされる度に心が痛む。
一宮くん………もう1回、前みたいに話したいよ。
冷たくしないでよ……ねぇ。
私には一宮くんが必要なんだ……。
心の中で何回も呪文のように唱えるけど、一宮くんにこの想いが届くはずもない。
一宮くんは私とほとんど関わらなくなって、どんな気持ちなのかな?
寂しいとかもう1度話したいとか思ってくれてたり……するワケないか。
そうだったら最初から私との関係を切ったりしないもんね。



