「……桃乃?」
未唯ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んできて、ハッと我に返る。
やばい、未唯ちゃんと話してたのに考え事してた!
「……っあ!ご、ごめん!ボーっとしてた……」
「もうっ!最近、桃乃ボーっとしてること多いんだからっ!」
「ご、ごめんっ」
私はペコッと頭を下げる。
―――キーンコーン
それと同時に、チャイムが鳴った。
「じゃ、桃乃。また放課後ね」
「うん!カボチャプリンアイスのこと考えて1時間乗り切る!」
私は自分の席へと戻る。
前の席では変わらず一宮くんは読書をしている。
その姿がかっこいいなんて思ってしまう私は、どれだけ一宮くんが好きなんだよってなるんだけど……でも、本当に絵になっている。
一宮くんが好きって自覚してから、さらにそう思う気持ちが強くなった。