「一宮くん!」
「なんですか」
私が話しかけても一宮くんの視線は本のままだ。
「こっち……見てくれないんだね……あはは……」
一宮くんって相当本が好きなんだね……。
「なんで見なきゃいけないんですか」
「そ、そうだよね!……で、一宮くんってなんの本読んでるか教えてよ!」
「別に。推理小説ですけど」
へぇ~……推理小説好きなのか!
たしかに似合うかも。
「白雪さんは本、読まないんですか」
「え!?わ、私は~……」
今まで読んだ小説っていったら、ケータイ小説みたいな恋愛モノしか読んだことないなぁ……。
「け、ケータイ小説とかしか読んだことないかも……」
「へぇ~……白雪さんってお話の中の恋愛に憧れたりするんですね」
一宮くんが少しにやっと笑う。
「ま、まぁ……ね!」
な、なんだろう……あの不敵な笑みは……。



