―――しかし。
一宮くんは次の日もまた次の日も放課後、あの階段に来なかった。
一宮くんと話をしようと話しかけても冷たくあしらわれるだけで、全く相手にされない。
話しかけると、
「読書の邪魔なので話しかけないでもらえますか」
とか
「静かにしてもらえますか」
と、言われるだけだった。
そう言われるたびに胸が張り裂けそうになって、自分が一宮くんを好きなんだって実感する。
いつの間に、こんなに一宮くんのことを好きになっていたんだろう。
気づかなかったなぁ……自分のことなのに。
………こうなったら一宮くんが帰ろうとしてるところを捕まえて話そう。
一宮くんとの関係を終わりにしたくないって。
そう決めて、私は放課後を待った。



