「うぅ……っ、ヒック……っ一宮く……っ」
一宮くんに歩から助けてもらったこと。
一宮くんの読書スポットを教えてもらったこと。
一宮くんが本当はイジワルだって知ったこと。
一宮くんの笑顔は素敵なんだってわかったときのこと。
一宮くんにお仕置きをされたこと。
一宮くんと一緒に帰ったこと。
………全てがよみがえってきて、涙が止まらない。
そして私は今更気付いた。
一宮くんはイジワルでうざくてバカばっかり言ってくるけど……でも……。
………一宮くんのそんなところも含めて、全部が好きなんだって。
「一宮くん………す、き………」
静かな階段で私はポツリとつぶやいた。



