「一宮くんっ!」
「………白雪さん」
私に気づくと、一宮くんは珍しく本を閉じた。
「急に呼び出してすいませんでした」
「いや、全然!」
「ふふ、なんでそんな息切れしてるんですか?そんな焦らなくてもいいのに」
「あ、あはは……」
一宮くんの見せた笑顔にドキッと胸が高鳴る。
って、私なんで胸高鳴ってんの!
意味わかんないし……!
一宮くんのこと、好きでもないのにさ!
「………白雪さん、金曜日は柴崎蒼と帰ってたんですね」
「……っ!」
「しかも、駅前の方に行ってたみたいですし。寄り道して帰ったんですね」
一宮くんの表情からはなにを考えて言っているのかわからない。
ただ無表情で、私の目をじっと見ている。



