「し、柴崎く………っ」
柴崎くんの香りが鼻をくすぐる。
優しくていい香りがした。
「俺じゃやっぱり……彼氏は無理かな?」
「………え、っと」
どう答えたらいいのかわかんない。
どうすればいいの……?
すると、見覚えのある人物が私たちに近づいてきているのが見えた。
「あ……」
その人物は間違いなく、本を読みながら帰る一宮くんだった。
私は一宮くんと向かい合う方向で抱きしめられてるからバレちゃう……っ!
「ご、ごめんな……とにかく俺が桃乃ちゃんを好きな気持ちは変わらないから………」
柴崎くんは私から体を離す。
気づいたら一宮くんは私たちの横を通っていってしまった。
そのとき、一瞬だけ目が合った。
一宮くんに………私が柴崎くんと抱き合ってたってバレた……絶対バレた……っ!



