な、なんで今一宮くんが出てくるの!
一宮くんは全く関係ないのに……。
それじゃまるで一宮くんのこと……。
「………桃乃ちゃん?」
「あ、ご、ごめん」
「俺のことは気にしないで、正直に答えてくれたらいいよ」
「う、うん……今はいない……かな?」
そう、私に好きな人なんていないよ。
うんうん、いないいない!
「そっか………でも」
柴崎くんは立ち止まって、私の方を向いた。
「俺、桃乃ちゃんに弟みたいなんて言われないぐらい、かっこいい男になるから……っ!」
柴崎くんの目があまりに真剣で、目が離せなくなった。
「俺……ほんとに桃乃ちゃんが好きだから……」
「………っ!」
そう言って優しく私を抱きしめた。
突然のことで体は固まる。



