「じゃ、僕は少し読書するので」




一宮くんは階段に座って本からしおりを取って続きを読み始めた。




………帰ってもヒマだし、一宮くんを待っていよう。
先に帰ったら一宮くんに色々言われそうだし。




そう決めて、私は一宮くんから少し距離をおいて隣に座った。




「………帰らないんですか?」




「帰ってもどうせヒマだし、帰ったら一宮くんに文句言われそうだし?」




「………よくわかってるじゃないですか」




私、段々一宮くんのことわかってきたのかも。
最初は私から一宮くんに近づいていったのに、今は私がやられる方になってるし。
全く想像してなかったなぁ、こうなるなんて。




一宮くんがこんな俺様だなんて思わなかったし。




「一宮くん、今日はなに読んでるの?」




「白雪さんには難しい本ですよ」




「む……っ、お、教えてくれたっていいじゃん!」




「教えるだけ無駄です」




そしてこんなに、一宮くんと過ごすのが楽しくなるなんて思わなかった。




未来ってやっぱり想像とは違うことが起きるのかも。
だとしたら、これから先、なにがあるのかな?




………なんて、バカみたいに考えていた。