「…ここは……?」

 目を覚ました少女。

「大丈夫か吉野!? 良かった、気がついて」
 安堵の表情を浮かべる中条。

「な、中条君…? 何で、どうして……」

 困惑する少女の問いに中条は黙ったまま後ろの男性に目を向けた。

「気がついたようだね」その声に少女は更に驚いた。

「せ、先生…?」

「ここはうちの病院なんだ…オレの父親」


 診察室の中はしばらく沈黙が続いた。今置かれている自分の状況がうまく理解出来ない少女。

「あの、私どうしてここに……」

 中条は少女が落とした薬を机の上に置き医師に問い詰めた。

「父さん、コレはなんなんだよ」

「その薬…私の…?」
 不思議そうに尋ねた少女。黙ったままの医師。
 中条は真っ直ぐ少女を見つめ答えた。

「ああ、倒れた時に落としたものだ。知らなかったよ…お前がうちに通ってたなんて……」

「私も知らなかったの、中条君のお父さんの病院だったなんて」

 少し申し訳なさそうに話す少女を見て、中条は厳しい顔で聞いた。