銀盤の国のお姫様

　それから、リンクサイドからほかの選手の演技を見た。

　さすが、厳しい予選を勝ち抜いて、中には、協会の推薦で出場している選手もいるのだが、こちらが圧倒されるような演技を見せてくれる。

　華音有は、去年のこの大会で五位入賞だったので、協会の推薦で予選免除されて出場している。


　気がつけば、十六時に近い。

　もうそろそろ、華音有の出番だ。
　華音有は出場選手三十人中、二十番目に第四グループの二番目に滑る。

「第四グループの選手は、六分間練習を始めてください。」

　たくさんのお客さんの前で、ジャッジも見ている中、リンクに六人の選手が上がった。
　その中の一人に、華音有がいる。

　六分間練習とは、あくまでも練習ではなく、ジャンプ、スピン、ステップ、衣装などの最終チェックの場だと華音有本人は言う。

　この辺は選手によって、捉え方はまちまちだ。

　いいイメージで終わらせるように心懸けている選手もいれば、六分間練習の時はボロボロでも、本番しっかり決める選手もいる。

　ちなみに、華音有は前者らしい。