話を元に戻そう。

 華音有は“ジャンプの天才”といわれるが、それでは彼女を表しきれない。

 フィギュアスケートの天才だ。

 スピンも、ステップも、表現力も、どれもこれも、他のどの選手以上の実力を持っている。

 唯一の弱点と言えば、技術の安定性が欠けていること。
 トリプルアクセルと四回転トウループが決まっても、スピンでこけてしまったり・・・
 ジャンプが不調でも、スピン、ステップ、表現力が絶好調だったり・・・

 試合で色んなことがあったが、それでも全日本ノービスB選手権、全日本ノービスA選手権(※2へ)、全日本ジュニア選手権(※3へ)、ジュニアグランプリファイナル優勝(※4へ)。世界ジュニア選手権優勝と輝かしい成績を残してきた。

 高校入学と同時にシニア(※5へ)に転向した。
 だが、ジュニアまでの時代と比べると、結果がいまいち。




 ※2→十一歳から十二歳かつ、一定の級数以上を持っている選手が出場できる区分。

 ※3→十三歳から十八歳かつ、一定の級数以上を持っている選手が出場できる区分。この年齢の分け方は世界共通。

 ※4→世界スケート連盟が公式に認めるジュニアが対象の七大会で修めた成績ポイントが上位六人のみが出場できる大会。
 
 ※5→十五歳以上かつ、一定の級数以上を持っている選手が出場できる区分。この年齢の分け方も世界共通。