「ドキドキしてくれた?」


「は、早馬く…」


顔がいきなり近くなった。


キス、すると思ってしまった。



でも彼の顔はギリギリで止まって、「なーんてね」なんてイタズラっぽく言うと立ち上がる。




「早馬くん、ずるい」



「だって俺憂樹のこと…」



ん?わたしのこと?



何かを言いかけて、やめた。



「ていうか真言って呼んでよ」



「恥ずかしいし、それに「釣り合わないって次言ったらぎゅってしちゃうぞ~」



まるでお菓子をくれないとイタズラするぞ、みたいな感じでそういう。



「ゆーうーきぃ?」



下から未胡の声がする。



「あんたら何して…」



「桜田?」



未胡は私たちに近づくと



「憂樹にあんま近づかないで」



なんて言って睨んだ。



「桜田は関係ない」



「大有りだバカ!憂樹行くよ」



「え?ちょ、未胡!?」